カースタイリング(CarStyling)連動セミナー


レンダリングの概要

このコーナーは、雑誌CAR STYLINGで161〜168号まで掲載された"Rhinoモデリング"を1冊にまとめたCAR STYLING別冊"Rhino 3D Modeling"の内容の理解をより深めていただくためのものです。

 レンダリングの目的レンダリングツールレンダリングプロセスマテリアルの設定
カメラの設定ライトの設定レンダリング


レンダリングの目的
レンダリング(rendering=演出)は、デザイナーとモデラーが意思疎通を図るための手法の一つで、3次元の形態をモデラーに伝えるためアイデアスケッチをより仔細に描いたドローイングです。一方ここで紹介するレンダリングの目的は、デザインのファイナルステージにおいて、様々な空間・環境設定において材質(質感)、色のシミュレートや、スケールモデル製作やラピッドプロトタイプによる加工前の形状確認を行うことにあります。


レンダリングツール
グラフィカルでとてもリアリティのある画像に仕上げる場合は、レンダリングに特化したソフトウェアを用いることにより、デザイン検討のみならず、WEBや雑誌広告といったようなメディア向け画像を得ることも可能です。 本項ではモデリングをする人間自らが操作でき、他のレンダリングソフトへモデリングデータを受渡すといった煩雑なデータ変換をすることなく、簡便にレンダリングを行ってその結果のデザインプレゼンテーションを行うといった主旨から、Rhinoceros上で動作するFlamingo(フラミンゴ)を用いることとします。 Flamingoは、反射・屈折・影の表現が行えるレイトレーシング(ray tracing:光線追跡)法、および何重もの拡散反射を計算するラジオシティ(radiosity)法によるレンダリングが可能です。


レンダリングプロセス
レンダリングを行うまでのプロセスを下図に示します。基本的な流れではありますが、実際には短時間で実行可能な簡易的なレンダリングを繰り返しながら、マテリアル・光源・ライトの設定を行っていきます。

レンダリングプロセス図解


マテリアルの設定

一般的なレンダリングソフトの場合、既存のライブラリがあるのでまずはそれを用いてみるのがよいでしょう。Flamingoも金属、プラスチック、ガラス他様々なマテリアルが用意されています。ライブラリを使用するにあたって、また、その後マテリアルを編集する際には、基本色・反射・屈折を考慮する必要があります。下の3つの球体は同じ基本色(RGB:247,247,247)ですが、反射係数を高く(Reflective Finish:0.974)すると左球のような金属表現が、透明度を高く(Transparency:0.9), 屈折率(水:1.33,ガラス:1.52〜1.8,ダイアモンド:2.417)を変化させることにより、右球のような透明体の表現を作成することができます。

マテリアルの設定図解1


さらにハイライト設定を調整することにより、拡散反射(真中球、ハイライト:オフ)状態や、鏡面反射(右球)状態がシミュレートされ、様々な物体の質感の設定に役立てることができます。

マテリアルの設定図解2


一方こうした表面特性は、一様な物体表面しか表わすことができません。 そこでマッピング手法を用いることにより、2次元画像を3次元モデルに貼り付けることにより局部的な色・柄・反射・粗さ(バンプ)を表現します。マッピングには用途に応じ平面マッピング、円柱マッピング、球状マッピング、UVマッピングがあります。下図はマッピング用の2次元画像と、そのレンダリング結果です。

マテリアルの設定図解3

・サイドウォール部刻印:平面マッピング、バンプ処理(凸)
・Car Stylingロゴ:平面マッピング、白地の透明化処理、バンプ(凸)処理、自己発光
・トレッド溝:円柱マッピング、バンプ(凹)処理


カメラの設定
カースタイリング別冊「ライノ3D モデリング」P.60を、ご参照ください。


ライトの設定
カースタイリング別冊「ライノ3D モデリング」P.72を、ご参照ください。
尚、本文中のレンダリングモデルはコチラからダウンロードできます。


レンダリング

カースタイリング別冊「ライノ3D モデリング」P.84を、ご参照ください。

最後に実際のレンダリングシーンとその結果を紹介します。モデルデータはPhil Frank氏新たにウインドウが開きますによる2005SaleenS281Mustangである。このデータを基に小坂 徹氏新たにウインドウが開きますがレンダリング用にフロアを追加。全てのオブジェクトのマテリアル、並びにライトを設定したものです。

特筆すべき点は、わずか1個のスポットライト光源を用いてレンダリングをしていること。
車のようにボリュームがあるオブジェクトをレンダリングする場合、ライトの数を増やしがちですが、ライトの数もまたレンダリング時間に影響を及ぼします。演出用に配置した段違いの鏡面状フロアにより、またテールボリュームを強調するためのカメラアングルによって、単一ライトにモノトーンの背景といったシンプルな構成にも関わらず、オブジェクトの形状、質感を見事表現しています。冒頭で述べた通り、ここでのレンダリングはデザイン・モデリングの意思決定のために行います。シンプルで、迅速なレンダリングを心がけることが、意思決定のすばやさに結びつくことになるでしょう。

レンダリング図解作品




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